外観と特徴 |
小型のペキニーズは、洋梨のような形の体型をしており、前肢辺りは太くがっしりと、後肢辺りはやや細めになっています。獅子を思わせるような外観で、体高より体長がやや長い、少々ずんぐりとした胴体をしています。
ぺキニーズは、外見的な美しさや優美さ、繊細さといった性質よりも、勇敢さ、大胆さ、自尊心の高さをうかがわせるような犬種です。前肢を使って、誇らしげにローリング(横揺れ)する歩き方は、威厳と自信に満ち溢れています。
分厚い下毛と、長くて硬めのまっすぐな上毛で覆われており、中国のシンボルである獅子を思わせるたてがみが、首から肩の辺りまで広がっているのが特徴的です。 |
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歴史 |
ペキニーズは、獅子を釈迦のシンボルとしていた中国のラマ教と深い関わりを持っています。東洋美術に描かれている狛犬は、高貴なものの象徴とされる獅子に似た外貌をしており、さらにそれを強調するための交配が行われました。その結果、ペキニーズは“獅子犬”という名前で知られるようになります。
唐の時代(8〜9世紀頃)には、ペキニーズの繁殖が、王宮宦官の後援によって大々的に金に糸目なく行われ、多くのペキニーズが王族の一員として至れり尽せりの寵愛を受けていました。
中国の皇帝たちは、小型のぺキニーズを袖に入れてかわいがっていたため、この犬種は「袖犬」とも呼ばれていました。
1860年、イギリスは中国皇帝の庭園であった頤和園を略奪します。彼らが略奪した戦利品のなかに5頭のぺキニーズが含まれており、この犬たちはその後、兵士たちによってイギリスへ持ち帰られます。そのうちの1頭がヴィクトリア女王に献上され、他の4頭とともに瞬く間に人々の注目の的となり、イギリスでの交配の歴史が始まることになります。
ペキニーズは長い間、裕福な人々のためだけの犬でしたが、次第に一般化され、一時は人気がありすぎて入手が困難になるほどでした。現在は安定した人気を維持し、愛玩犬として、またはショードッグとして可愛がられています。
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気質 |
ペキニーズは小型犬にもかかわらずとても勇敢な性質を持っています。自分から喧嘩を仕掛けたりはしませんが、争いになると後へ引かない負けず嫌いな犬種です。飼い主やその家族には忠実ですが、見知らぬ人とは距離を置き、打ち解けるまでにかなり時間がかかります。独立心が旺盛で頑固な面があり、あまり感情を表に出すタイプではありません。
家族の前では気を許して遊び好きな面を見せますが、子供の相手をするほどの活発さはなく、それほどの運動能力も持ち合わせていません。
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飼育管理 |
ペキニーズは屋外をのんびりと歩いたり、室内で遊んだりすることが大好きです。暑い中、長い間外で遊ばせていると、熱中症を起こし、命に関わることもあるので、暑い地域では冷房の効いた室内で飼育させましょう。涼しい気候の地域でなら外で過ごさせることもできますが、寝床は室内に用意してあげるのが理想的です。どちらかというと、アパートなどの狭い部屋での飼育にぴったりの犬種といえます。
被毛は最低でも毎週ブラッシングをして、毛が絡まないようにしてあげましょう。
また、感染症を防ぐために、鼻の周りなどにあるしわの間を拭いて、いつも清潔に保つよう心掛けてください。肛門の周りの被毛の汚れも定期的にチェックしてあげましょう
この犬種は時々いびきをかく傾向があります。
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健康 |
気をつけたい病気は、軟口蓋過長、鼻腔狹窄、乾性角結膜炎、膝蓋骨脱臼、二重睫毛、逆まつげ、皮膚疾患 |
たまにみられる病気 |
尿路結石症 |
しておきたい検査 |
膝関節検査、眼科検査 |
寿命 |
13〜15歳
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注意 |
心臓機能が弱く、麻酔に敏感。角膜が傷つきやすい。出産は帝王切開になる場合が多い。 |